オフェンス

ゾーン・オフェンス(アタック)の考え方

多くの選手がゾーン・ディフェンスを崩すことができずに悔し涙を流したことがあるのではないだろうか。

ゾーン・ディフェンスは様々なシステムがあり(2-1-2、2-3、3-2、1-3-1ゾーンなど)、それら全てに対応すべき個々のオフェンスの練習をするのは現実的ではない。また、次に対戦する相手がゾーンをするからといって、付け焼刃でゾーンオフェンスを練習しても試合でうまく行くものではないだろう。

日本の中学や高校のバスケでよく見られることだが、指導者がゾーン・オフェンスをシステム(決められた動き)として選手に教えてしまうことだ。システムとして覚えることほど最も効率が悪いものもないだろう。確かに、短い練習時間でゾーン・オフェンスを習得するためには、ある程度のシステムは必要であるが、その先に選手1人1人のクリエイティビティが大切になってくる。

私は、動きを覚えさせるよりも、応用力を選手に付けるのが最も効果的であると考えている。もちろん、最低限の決まりを作ることはチームにとって必要である。つまり、基礎で終わらずに、初めから応用を頭の片隅に入れておこうということである。

そこで、ここではゾーン・オフェンスの練習を紹介する前に、ゾーン・オフェンスの考え方を説明していく。

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ゾーン・ディフェンスだからとオフェンスの大前提を忘れていないか?

ゾーン・ディフェンスをされるとあたふたしてしまい、パス・パス・パスと考えてしまう選手/チームが多い。しかし、バスケットの大前提として、オフェンスはゴールを決めることが最終目的である。

当たり前のことだが、本当に重要なのでもう一度言うと、オフェンスは「ゴールを決めること」が最終目的だ。そのために、フリーの選手を作るのであって、フリーの選手を作るのが目的ではない。ゾーン・オフェンスにあっても、この大前提を忘れないでいこう。

ゾーン・オフェンスの「考え方」を学ぼう!

ゾーン・ディフェンスはエリアを守ることを特徴にしているためわかりにくいが、ゾーン・オフェンスでもマンツーマンに対するオフェンスでも、基本的な考え方は同じである。基本的な考え方とはアウトナンバーを作るということだ。

アウトナンバーを作るというのは、簡単に説明すると、「2人で1人のディフェンスを崩す」か「1人で2人のディフェンスを引き付ける」ということに集約される。そのためには、ドライブやオーバーロードなどをしていくことになる。細かい崩し方は今後の練習メニューで紹介していくので、ここでは割愛させていただく。

また、ゾーンの原型を崩すことも重要なゾーン・オフェンスの考え方だ。ゾーンのもともとの型を、縦長/横長にしてしまえば、攻めるポイントが多数になってくる。ゾーン・オフェンスを考える際に、「ゾーンの原型を変えるために〇〇に飛び込めばいいのでは!?」「ディフェンスとディフェンスの間を攻めて2人を引き付けたら面白い展開になるかもしれない!」と考え始めれば、ドンドンと応用が利くようになるだろう。

フリーの考え方を変えよう!

「フリーの選手を作れ」、「フリーになったらシュートを打て」ということ言葉はよく耳にするだろう。

さて、この言葉は本当に正しいのだろうか?日本のバスケでありがちなのが、フリーであれば「誰でも」「どこでも」打って良いという間違った認識だ。NBAを見ていれば気づけることだが、フリーであっても打たない選手は多い。これは、スター選手がディフェンスされつつ打つシュートの方が入る確率が高いからだろう。

このことからわかるのは、ただフリーであればいいというのでは、得意なポジションでフリーになるということ、得意なポジションでフリーにしてあげるということだ。スリーポイントが得意な選手がいるのであれば、その選手が気持ちよくスリーを打てるようにプレーをデザインすればいい。

また、ディフェンスが全くいない状態をフリーと考えるだけではなく、ゾーン・ディフェンスにありがちな微妙なスペースをフリーの状態と考えても間違いではない。よくある例を挙げると、2-3ゾーンディフェンスの場合、ガードポジションがスリーポイント付近でノーマークとは言えないまでも、プレッシャーを感じずにシュートを打てる場面がある。この場合、シュートの得意なガードであれば、積極的にシュートを狙っていくこともゾーンオフェンスの大切な要素になってくる。(もちろん試合の流れによるが・・)

ゾーン・オフェンスの練習はマンツーマン対策にも役立つ!?

ゾーン・オフェンスは必ずしもゾーン・ディフェンスの対策になるだけではなく、マンツーマン・ディフェンスを崩す際にも応用が利くものである。ゾーンオフェンスの練習をすることの最大のメリットは、スペース(間)を考える力が選手に付くことだと感じている。コート全体を俯瞰して見る力が、ガードだけでなくセンター陣にも付くだろう。

練習では、可能な限りポジションをわけずに、全員が全てのポジションをするといいだろう。ゾーン・オフェンスの練習を行うことは、必ずチームにプラスになるはずだ。

これから紹介していく分解練習によって、1歩1歩ゾーンオフェンスの要領を習得していこう。

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