マンツーマンディフェンスに対して使えるオーバーロードというセットオフェンスを説明していく。オーバーロードオフェンスという言葉自体を聞いたことがないという方に簡単に説明すると、コートの片側に4人以上寄ってしまう作戦だ。
通常、バスケットボールではコートバランスの重要性が頻繁に言われていて、5人がコート上にバランスよくいなければダメなんだと考えてしまっている選手やコーチもいるだろう。しかし、オーバーロードでは、4人または5人全員がコートの片側によって、人数的優位を作るか、あけた残りの半分で得点に絡むプレーを展開させていく。
今回説明していくのは、数あるオーバーロードオフェンスの中でも比較的簡単で、かつ応用させやすいものである。オーバーロードというとゾーンディフェンスに対するものという認識が強いが、マンツーマンディフェンスに対しても有効である。試合の流れを見極めて使うといいだろう。
オーバーロードオフェンスの手順
- 下記の図のように、ボールマンはトップに、残り4人がゴール下にセットする。
プレイヤー2と3が逆サイドのウィングに展開します。その際、どちらが先に動き出すかを決めておいても良い。
- プレイヤー1からプレイヤー3にパスを出します。(もちろんプレイヤー2にパスでもOK。その際は、この後の展開を左右逆で考える)
- プレイヤー1はボールサイドのコーナーへ、プレイヤー2はプレイヤー1の動いたスペースを埋める、プレイヤー4はボールサイドのエルボー(ハイポスト)へフラッシュする。これら3人の動きは「同時」に行う。
- プレイヤー3からプレイヤー5へパス。プレイヤー5はボールをもらったら積極的にゴールを狙う。特に、ウィークサイドのヘルプが一切いない状況を作れているので、ウィークサイドを攻めると良い。
- プレイヤー3から直接プレイヤー5に入らない場合、ハイポストにいるプレイヤー4を経由してハイロープレイを狙う。プレイヤー3から直接パスが入らない状況であれば、お尻を使ってディフェンスを外に追い出し、プレイヤー4からのパスでゴール下を簡単に狙えるだろう。
- ハイポストにもローポストにもボールが入らなかった場合、プレイヤー3はプレイヤー2にパスをする。プレイヤー2はボールを受ける際に、ジャンピングミートなどでディフェンスとズレを作り、積極的に1対1を仕掛けよう。この際、スペースの広いほうに仕掛ける(図の場合は左側)。
- 1対1を仕掛けられなかった場合、プレイヤー2はドリブルで逆のウィングまで降りる。プレイヤー2の動きと同時に、図のように他のプレイヤーも逆サイドへ動き出す。
- 逆サイドでオーバーロードオフェンスを繰り返す
オーバーロードオフェンスの成功のために
オーバーロードオフェンスは、「ヘルプに行かせない」というのが重要なポイント。複数のプレイヤーが同時に動くことで、ヘルプディフェンスがしにくくなる。
能力で劣っているチームあっても、1対1で勝てるマッチアップが1箇所でもあれば、オーバーロードをすることで得点をするチャンスがグッと広がるだろう。ミニバス・中学・高校のバスケチームでは、突出してうまいプレイヤーが1人だけいるチームは多い。そのプレイヤーを活かすためにも、オーバーロードオフェンスはかなり有効だ。通常ならヘルプが来てしまい得点しにくい場面でも、オーバーロードオフェンスで1対1が得意な選手を存分に活かすことができる。