アイソレーション(Isolation)は英語の「分離、独立、絶縁」などの言葉から使われているバスケットボールの用語で、1on1を仕掛けやすくするための戦術(フォーメーション)です。
アイソレーション・オフェンスは得点能力に優れた選手が1on1をしやすくするために、また他のディフェンスがヘルプに行きにくくするために使われます。
簡単なイメージとしては、コートを半分に分けて、ボールを持った選手がいるサイドでは1on1、逆サイドでは4on4の形を作ります。他の戦術に比べて非常にシンプルですが、それだけにデメリットも多く、指導者によって賛否が分かれる戦術になっています。
賛否は置いておいて、ここではメリットとデメリット、日本では成立しにくい理由を見ていきましょう。
アイソレーション・オフェンスのメリット
- ディフェンスとの能力差がある場合に容易に得点できる
- ターンオーバーが少ない
- チーム内のレベルにバラつきがある場合に使いやすい戦術
言うまでもありませんが、ディフェンスとの差があれば、そこで1on1をすることで簡単に得点を積み重ねることができます。
基本的にチームで一番上手な選手がボールを持って1on1を行うのでパスの回数が少なくなり、結果としてターンオーバーの数は少なくなります。
コートに出る5人のレベルに差がある場合、難しい戦術を使うのは現実的ではありません。アイソレーションは1on1を仕掛けない選手にとってはシンプルなオフェンスになるので使いやすいでしょう。
アイソレーション・オフェンスのデメリット
- 周りの足が止まってしまう
- チーム力の底上げができない
アイソレーションでは残りの4人が動くスペースが少ないため、どうしても足が止まってしまいがちです。オフェンスの流れを作るという意味ではあまり向いていないオフェンスでしょう。
1人の選手の1on1に頼ってオフェンスを展開してしまうため、チーム全体の力をつけるという意味ではNGでしょう。ただし、アイソレーションはここぞという時だけに使うオフェンスと考えているのであれば、十分に効果を発揮する戦術となります。
アイソレーション・オフェンスが日本で成立しにくい理由
NBAでは成立するアイソレーションが、日本ではほとんど使われないのには2つの理由があります。
- ディフェンスの3秒バイオレーションがない
- 得点能力の高い選手がほとんどいない
NBAにはディフェンスの3秒バイオレーションというルールがあり、アイソレーションを仕掛けている時にヘルプディフェンスがゴール下にいれません。そのため、オフェンス能力の高い選手が1on1を仕掛けて得点を取りやすいのです。
一方で、日本や国際ルールではディフェンスの3秒バイオレーションがないので、アイソレーションをした場合でもヘルプディフェンスがゴール下にいてしまい、実質的には1on2の形になってしまいます。
個々の得点能力が低い日本人にとってはアイソレーションは使いにくい戦術です。
ただし、ミニバス〜大学であれば、オフェンスとディフェンスの能力差が大きい場合が多いので、アイソレーションから得点が取りやすいかもしれません。
アイソレーションの参考動画
最後に、NBAのジェームス・ハーデンのアイソレーションのまとめ動画です。ステップやシュートに行くまでの過程で参考になる点が多いので、是非見てみてください。
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