クロスオーバーは現代のバスケにおいて最も効果的なドリブルだとされています。特に、小柄な選手にとって相手ディフェンダーを左右に崩すのに、クロスオーバーほど効果的なドリブルは存在しないでしょう。一方で、ディフェンスの目の前でボールを交差するため、スティールされる可能性が高いドリブルでもあります。ディフェンスのレベルが高くなるほど、クロスオーバーでディフェンスを抜くためにはスピード(体の動きとドリブルの強さ)が大切になってきます。
クロスオーバーは1対1で状況を打開したい場面だけでなく、速攻(ファストブレイク)でも非常に役立つスキルです。
ミニバス/中学/高校/大学を通して、クロスオーバーの練習を取り入れているチームはかなり多いと思います。とはいえ、一見簡単なように思えるクロスオーバーでも、実際の試合で使えている選手はほとんどいません。ディフェンスがいない空の動きではスムーズにできるのに、対人ではクロスオーバーをうまく決められないという悩みを持っている選手も多いのではないでしょうか。
ここでは、試合で実際に使えるクロスオーバーを身につけるための6つのコツを紹介していきたいと思います。
Contents
クロスオーバーでディフェンスを抜く6つのコツの見出し
イメージトレーニングはやっているか!?
クロスオーバーの代表選手とも言えるアレン・アイバーソンの動画でイメージをつけましょう。
クロスオーバーに限ったことではありませんが、イメージトレーニングに終わりというものはありません。毎日時間さえあれば動画を見直しましょう。
また、NBA選手1人1人のクロスオーバーの特徴は異なっています。アイバーソン、ウェイド、カリーなどのそれぞれの選手の動きを実際に試してみて、自分にとって最もしっくりくる動きを確かめ、その動きを繰り返しイメージトレーニングするのが習得への早道です。
ドリブルを「強く」つく
ディフェンスがいない練習ではうまくできるのに、いざ試合/対人の練習で使おうとするとなかなか上手くできない。そんな悩みを持っている選手も多いでしょう。
試合/対人でうまくいかないのには様々な理由がありますが、私が見てきた中で最も多い理由は「ドリブルの強さ」に原因があります。
ドリブルが弱いために起こるミスとしては、「スティールされる」、「ディフェンスを逆に振ったあとにスピードが出ないので抜けない」、「ディフェンスにフェイントがばれる」などが挙げられます。
逆に言えば、ドリブルを強くつくことでスティールされる可能性はかなり低くなりますし、ディフェンスを逆方向に振った後の2歩目が非常に早くなるのでしっかりと抜くことができます。
クロスオーバーの練習をすると、脚捌きに注意がいってしまいドリブルが疎かになってしまうことが多いです。
また、ドリブルを強くつくとコントロールができずにファンブルしてしまうという悩みがあるのも事実でしょう。確かに、最初は強いドリブルをコントロールできないかもしれませんが、最初から弱いドリブルをついていてはいつまで経っても強いドリブルでクロスオーバーができるようにはなりません。常に強いドリブルを意識しましょう!
ディフェンスとのズレを意識しよう
クロスオーバーを成功させるためには、ディフェンスとの距離/ズレを意識する必要があります。まずはヘッドアップ、顔を上げてディフェンスの動きを見ましょう。
次に、ディフェンスとの距離感を把握しつつ、ヘジテーションやチェンジオブペースを組み合わせてみましょう。同じスピードでクロスオーバーをしても、上手なディフェンスはフェイントには引っかかってくれません。クロスオーバーを成功させるためには、ドリブルで相手に近づいた時にスピードを落とし、フェイクの瞬間に一気にマックススピードまで持っていくなどの工夫が必要です。
また、距離感の話をすると、どのくらいの距離が最適かという質問が出ますが、ディフェンスとの完璧な距離感というものは存在しません。自分のスキル(ドリブルスキル、身体能力など)と相手ディフェンダーのスキルによって最適な間合いは変わってきます。こればかりは言葉で教えるよりも、何度も繰り返しクロスオーバーを使うことによって身体に染み付かせるしかありません。
*ちなみに、ヘジテーションとは英語のhesitate(躊躇う)という動詞の名詞形です。バスケではよく使う言葉なので、知らなかった人は覚えておきましょう。
足捌きをNBA選手から学ぼう
NBAのクロスオーバーを特集した動画が↓です。1度は見ておく価値がありますので、時間があるときに見ておいてください。
自分自身の動画を撮ろう!
バスケットボールに限らず上達する選手というのは、自分自身のプレーをしっかりと見つめなおせる選手でしょう。試合の動きを見直す選手は多いですが、練習を動画に撮って見直している選手は少ないのではないでしょうか。
動画を撮ることで得られるメリットは数多いですが、特に、「イメージトレーニングで培った動きと、実際の動きのズレを認識する」ことができるというメリットがあります。自分ではイメージ通りに動けていると感じていた場合でも、実際には動けていないことはよくあります。そのズレ(理想と現実のギャップ)をしっかりと受け止めて、イメージに実際の動きを擦り合わせていくことが大切です。
また、ディフェンスの反応を確かめるということも重要です。毎回全く同じ動きをするのではなく、多少クロスオーバーのタイミングやスピードを変えることで、ディフェンスの動きの違いを確かめていけるとクロスオーバーが上手くなるでしょう。
1対1の反復練習が最高の練習
ここまで色々と説明してきましたが、最も重要なことは、何よりも反復練習することです。特に1on1の練習を繰り返し行い、クロスオーバーの感覚を体に染みつかせましょう。
クロスオーバーを練習したい場合は、45度(ウィング)でミートからの1対1の練習をするよりも、オフェンスはハーフラインからスタートし、ディフェンスがスリーポイントライン付近で待機する1対1の方が有効です。これは、オフェンスとディフェンスとの間にスペースがあることに加え、スピードもコントロールできるのでクロスオーバーの練習にピッタリなシチュエーションを作ることができるからです。
クロスオーバーから更に一歩踏み込み、試合で得点を量産するドリブル技術を身につけたいという選手は、以下を見てみてください。
試合で得点が取れるオフェンス重視の上達方法