ピック&ロールを仕掛ける際に、オフェンス側が最も注意しなければいけないのは、ダブルチームによるトラップディフェンスだろう。ダブルチームというと、ディフェンス2人によるものだけと思いがちであるが、コフィンコーナーにおけるラインを味方につけたダブルチームほどオフェンスにとって厄介なものはない。
ピック&ロールはオフェンスが仕掛けるものであるが、ディフェンスにとっても仕掛けるタイミングとなることは間違いない。オフェンスの攻めの中心がピック&ロールになりつつある現在のバスケットにおいて、ディフェンスの進化も止まることがない。ピック&ロールに対応する様々なディフェンスが出てきている。
能動的に仕掛けられるピック&ロールを習得するために、様々な視点から基本を解説していく。まず、ピック&ロールを考えるとき、「どこで」「いつ」「誰と誰が」「どのように」仕掛けるかという4点に絞られる。
「どこで」というのは、コート上の立ち位置のことであり、トップオブザキーやウィング、あるいはエルボー付近などと様々である。それぞれの場所でのメリットやデメリットがあり、十分に理解することが大切だろう。
ここでは「どこで」という視点に立って説明していく。
ハイピックアンドロール
トップ・オブ・ザ・キーの周辺からスクリーンを展開していく。スクリーナーは左右どちらでもスクリーンを行うことができ、ディフェンスの対応が最も難しい場所である。ハーフコートオフェンスのピックアンドロールのほとんどがハイピックアンドロールから展開されている。
少し古いが、サンズのスティーブ・ナッシュとアマレ・スタウドマイアーのピック&ロールを参考にしてもらいたい。
ウィング(サイド)ピックアンドロール
ウィング付近からスクリーンを展開していく。ローポストかハイポストにいたオフェンスがスクリーンを「ミドル側」へセットし、インサイドへドライブを仕掛けていく。ハイピック&ロールよりもゴールに近いため、スクリーナーのディフェンスの位置によっては積極的にジャンプシュートを選択することができる。
コーナーピックアンドロール
コーナー付近からスクリーンを展開していく。ディフェンスはコーナーでのスクリーンプレイに慣れていないため守りにくいだろう。一方で、コフィンコーナーと呼ばれるように、サイドラインとエンドラインがあるため、オフェンスはトラップに引っかからないようにする必要がある。
ローポストのピックアンドロール
ローポスト付近からスクリーンを展開していく。高いスキルが必要となるが、かなり有効なオフェンスになる。