オフェンス

ディレイオフェンスを徹底解説!試合で勝てるチームを作るコツ

みなさんはディレイオフェンスという戦略を聞いたことがありますか?

ディレイオフェンスはシュートクロックを目一杯使って攻めるオフェンスシステムのことですが、身体能力やバスケスキルが劣っているチームでも格上に勝つことができる戦術として広く注目されています

今回は、身体能力やバスケスキルの低いチームでも、競合を相手に試合で勝てるディレイオフェンスという戦略を紹介していきます!

ディレイオフェンスをチームに導入する

ディレイオフェンスとは?

ディレイオフェンスとは、「遅いオフェンス」という意味で、英語のDelay(ディレイ=遅延・遅い)から名付けられています。

ディレイオフェンスはオフェンスの際に、24秒クロックを目一杯使って攻撃回数を減らすことで勝とうとする戦略です。

攻撃回数を減らすというのは少し常識から外れているかもしれません。

通常は、ファーストブレイク(速攻)を主体にすることで攻撃回数を増やし、勝利しようと考えるものです。攻撃回数を増やすというのは間違った考えではないのですが、決定的に欠けているのは、「相手」よりも攻撃回数を増やすことが重要であって、攻撃回数そのものを増やす必要はないということです。

ディレイオフェンスは1試合平均50本攻撃しているのを60本にしようと目標を立てるのではなく、自分たちの本数を40本に下げて相手の攻撃回数を40本以下にしようという考えです。(ちなみに、NBAの1試合の平均シュート数は75~85本程度です。)

速い展開のバスケ、身長がないから走って勝つというスタイルのバスケは、日本では「当たり前」のこととして考えられていますが、ディレイオフェンスは逆転の発想から生まれた戦術です。ゆっくり攻めることで攻撃回数を減らして、速攻を主体としないことで身体能力の差をカバーしようとします。

また、ディレイオフェンスは速攻主体のチームのリズムを狂わせ、相手選手にフラストレーションを溜めさせるという効果もあります。アップテンポ(速い展開のゲーム)が得意なチームほど、ディレイオフェンスをされると激しいディフェンスを仕掛けたくなり、ファールが重なってしまいます。

繰り返しになりますが、ディレイオフェンスは身体能力やスキルが劣ったチームが勝つための戦略です。それではディレイオフェンスを成功させるためのカギを1つずつ紐解いていきましょう。

 

メリット

  • 相手のリズムを崩すことができる
  • ディレイオフェンス最大のメリットは、相手のリズムを崩すことにあります。

    実力差がある相手と戦って勝つためには、自分たちが100%で戦うことも重要ですが、いかに相手を100%で戦わせないかということも重要です。ディレイオフェンスはかなりの確率で相手を混乱させ、普段の力を発揮させません。リズムが崩れれば当然シュートが入らなくなり、フラストレーションからファールなども増えていき、実力差のある相手にもつけいる隙が生まれます。

  • ミス(ターンオーバー)の回数が減る
  • ディレイオフェンスを導入することで、慌てる必要がなくなるので不用意なミスが減ります。もちろん、攻撃回数が減るのでミスの総数自体が減るのは当然のことですが、ターンオーバーを減らして速攻での失点をなくすことは勝利に直結します。

  • 身体能力の差をカバーできる
  • ファーストブレイクが主体の試合をした場合、身体能力/体力が高いチームが勝つ確率が高くなります。というのも、ファーストブレイクが主体となれば、必然的に攻撃回数が増え、その結果としてリバウンドの回数も増えます。リバウンドは身体能力が高いチームの方が有利ですから、相手の攻撃回数が増える結果となり、試合に負けてしまいます。

    一方で、ディレイオフェンスをすれば、走り負けたり、リバウンドに競り負ける回数を減らせるので、勝ちにつながります。

  • ベンチ層が薄いチームに向いている戦略
  • 走る量が少ないのもディレイオフェンスの特徴。ベンチ層が薄い場合や、ダブルヘッダーなど1日に2試合もこなさなければいけない場合に有効です。

 

デメリット

さて、ここまでディレイオフェンスのメリットをお伝えしてきましたが、ここからはデメリットをお話します。どんな戦略にもメリットがある反面、デメリットが存在していることは言うまでもありません。メリット、デメリットを理解した上で、チームに導入していきましょう。

  • ディレイオフェンスの概念を選手に伝えるのが難しい
  • 日本全国のほとんどのチームが取り組んでいるのはファーストブレイク主体のチーム作りです。そのような環境で育ってきた選手たちに、ディレイオフェンスという概念を教えるのは非常に難しいです。

    また、ファーストブレイク主体のオフェンスよりも退屈になりがちなため、選手が好んでディレイオフェンスに取り組んでくれないことがあります。選手のモチベーションを保ったまま、ディレイオフェンスを導入していく必要があります。

  • ディレイオフェンスを一貫してやり通すのが難しい
  • ディレイオフェンスを1試合通して行うには、選手にもコーチにも忍耐力が要求されます。速攻を仕掛けたいという衝動を抑え、ディレイオフェンスに取り組めるかというのが成否のカギとなるでしょう。

  • 一度崩れると脆い/得点差をつけられると逆転しにくい
  • ディレイオフェンスがはまっている間は試合の主導権を握り、思い通りに試合を運ぶことができます。しかし、ターンオーバーやファーストブレイクをきっかけに、一度相手の流れに試合が傾いてしまうと引き戻すのが難しいのも事実です。さらに、一度点差が開いてしまうと、なかなか逆転することができません。

 

ディレイオフェンスを成功させるためのパターンオフェンス

ディレイオフェンスを成功させるためには、パターンオフェンス(モーションオフェンス)という決められた動きを習得することが欠かせません。24秒(または30秒)クロックを目一杯使うと言っても、ポイントガードが長時間ボールを持っているのは好ましくないでしょう。

チームで動きながらボールを回し、シュートクロックを使い切って攻めるのが理想的なディレイオフェンス。そのために使えるのがパターンオフェンスです。

パターンオフェンスとは、決められた動きの中に攻めるポイントをいくつも用意したフォーメーションで、ディフェンスの出方に合わせて応用が利くものです。もちろん、複数のパターンオフェンスを練習しておくといいでしょう。また、相当数のセットオフェンスを用意し練習しておくことも大切です。

[パターン・オフェンス]試合で使える2対2と3対3の動きを身につける - Part1

 

まとめ

ディレイオフェンスを成功させるためには、「勝利に繋がる戦略なんだ」ということを選手にわかってもらうことが大切です。

最初は選手が半信半疑でしょうが、勝利を積み重ねることによって選手はディレイオフェンスという戦略に自信を持ってくれるでしょう。

もちろん、ディレイオフェンスを導入する前に、コーチがきちんと選手に説明することが大切です。ミーティングなどで一方的に話すだけではなく、動画などを用いてディスカッションをするといいでしょう。

また、チームにとって「勝利」が第一目標であるとは限りません。コーチ/指導者が勝ちたいと思っているだけで、子供たちにその気持ちを押し付けてしまっているというケースも少なからずあります。無理にディレイオフェンスという戦略を押し付けても、成功する可能性は低いでしょう。

私の持論ですが、子供たちがバスケットボールを好きになってくれるのは、ディフェンスよりもオフェンスの練習を重点的に行っている方です。ディレイオフェンスの練習をするということは、必然的にパターンオフェンスやディフェンスの時間が増えてしまうので、注意が必要でしょう。

また、ミニバス/中学ではディレイオフェンスをお勧めできません。子供達がディレイオフェンスを理解するのは難しいでしょうし、チームの勝利よりも個人のスキルアップに時間を費やすべきと私は考えているからです。もちろん、目的意識を持っているチームでは全く問題ないでしょう。高校の全国レベル(全国大会に出場する、県で代表争いをする)チームや大学でもディレイオフェンスを導入することは問題ないと思います。

少しディレイオフェンスを否定するような形になってしまいましたが、チームの目標が勝つことであり、身体能力やスキルが他のチームよりも劣っているのであれば、積極的にディレイオフェンスを導入すべきです。

他のチームと同じような戦略を取っている以上、能力やスキルが高いチームに勝つことは難しいのが現実です。日本ではほとんど使われていないディレイオフェンスという戦略を取り入れることにより、勝利に近づくことができればと思います。

ディレイオフェンスについて、更に詳しく知りたいという方は、以下のDVDがお勧めです。ディレイオフェンスを日本に導入した二杉コーチが監修しているDVDで、ディレイオフェンスの導入を1から説明されています。

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