オフェンス

【バスケ戦術】ファイブアウト(5OUT)・モーションオフェンスを学ぶ!

ファイブアウト・モーションオフェンスとは?

ファイブアウト・モーションオフェンスは(以下5out)、5人全員がアウトサイドのプレイヤーとして攻めるバスケの戦術です。

3アウト2インや4アウト1インを中心とする普通のオフェンスと比べて、1on1を活かしやすく、チーム全体でオフェンス参加ができるというメリットがあります。もちろんメリットだけでなくデメリットもあり、5outをチームに導入する場合には様々な点を検討してから導入してください。

 

ファイブアウト・モーションオフェンスのメリット/強み

  • 1on1のためのスペーシングができる
  • バスケットボールにおいて重要なスペーシングですが、上手くスペーシングができない、ボールに集まってしまうという悩みはあるでしょう。5outを使って選手全員がきちんとポジショニングができれば、スペーシングに悩む必要もなくなりますし、ドライブをするための大きなスペースができます。ヘルプディフェンスがしにくいのが5outの戦術の特徴です。

  • オールラウンドプレイヤーの育成に最適な戦術
  • ガード/フォワード/センターのポジションに関係なく、全員がシュート/パス/ドライブ/スクリーンをする必要があるのでオールラウンドプレイヤーを育てることができます。

  • 選手全員がオフェンスに参加できる
  • 選手全員が平等にドライブやシュートなどの機会を持ってオフェンスに参加できる戦術やフォーメンーションは少ないです。5outでは5人全員がドライブしてシュートに行きますので、見ている保護者も嬉しいですし、やっている選手も楽しいです。

  • 相手のビッグマンにアウトサイドのディフェンスを強要する
  • 5人全員でアウトサイドのプレイをするので、必然的に相手のビッグマンはアウトサイドのディフェンスをしなければなりません。大抵の場合アウトサイドからの1on1に慣れていませんので、ビッグマンのマッチアップから攻めることができます。

  • ディレイオフェンスになる
  • 5outはパッシングを続けることでディレイオフェンスにもなります。試合のペースをコントロールして、自分たちに有利な試合展開に持っていくことができます。

 

ファイブアウト・モーションオフェンスのデメリット/弱み

  • ゴールを見なくなってしまう
  • 5outの動きをすることに一所懸命になってしまい、肝心のシュートへ行くという姿勢を忘れてしまうことがあります。特に5outの練習を始めたばかりの頃はこのような傾向が強いので注意しましょう。

  • 絶対的エースがいるチームには向かない
  • 5人全員でボールをシェアして攻める戦術なので、絶対的エースも攻める回数が制限されてしまいます。絶対的エースが得点のほとんどに絡むようなチームでは、モーションオフェンスの中でエースが絡むプレイを多く導入するといいでしょう。

  • 1on1の能力が劣っていると攻めるのが難しい
  • 5outの戦術では、パッシングから1on1で仕掛けることが多いです。選手1人1人の1on1の能力が高くないと上手くいかないでしょう。また、マッチアップで少なくとも3箇所が1on1で勝てているか同じくらいでないと難しいです。

  • リバウンドが取りにくい
  • ゴール下に1人もいないため、どうしてもオフェンスリバウンドを取れるチャンスが少なくなってしまいます。もちろん、外から飛び込みリバウンドをします。

 

ルール:全員共通の基本ルールを覚える

  • ボールを持ったらゴールに向いてトリプルスレッド
  • ボールを持ったら、パスを回すために次のターゲットを探してしまいがちです。ですが、ボールを持ったらバスケットボールの基本であるトリプルスレッド(シュート、パス、ドリブルが同時にできる姿勢)を忘れずに、必ずゴールに正対するようにボールをミートします。

  • ドライブをするスペースがあって、ディフェンスに勝てると思ったら積極的にドライブを仕掛ける
  • 5outはドライブを仕掛けるスペースを作るためにパッシングをしているのであって、パスを回すことは目的ではありません。パッシングをしている中でディフェンスとのズレができた場合は積極的にドライブを仕掛けましょう。

  • ディナイをされている状態でボールマンが自分を見ているときはバックカットをする
  • 5outでは早いボール回しが非常に大切ですが、ディフェンスはディナイによってパスを回しにくくしてきます。ディナイをされても普通はVカットなどでボールをもらったりしますが、5outでは基本的にバックカットをします。自分がいたスペースを空けて、味方がそのスペースを使えるようにしてあげます。もちろん、パスのタイミングに合わせてVカットやLカットでボールをミートすることは大切です。

  • バックカットを途中でやめない
  • 5outをしている中で多いミスに、バックカットを途中でやめてしまい、パスが誰の手にも渡らずにアウトオブバウンドになることです。チームの習熟度が洗練されてきたら、ディフェンスの状況に合わせてバックカットを途中でやめてもいいかもしれませんが、基本的にはバックカットを一度始めたらやめないというルールを守りましょう。

  • スリーポイントラインよりも外側でスペーシングをする
  • カッティングをした後などのスペーシングは、必ずスリーポイントラインよりも外側でします。自分のシュートレンジかどうかは関係ありません。

 

*以下では説明をわかりやすくするために、図で示した各選手のことを青1、青2などと呼ぶことにします。説明と一緒に図も見るようにしてください。

 

ファイブアウト・モーションオフェンスのやり方

5outを展開していくには基本となる4つの方法があります。

  1. カッティング
  2. オフボールスクリーン
  3. オンボールスクリーン
  4. ドリブルハンドオフ

 

4つの方法を見て行く前に、カッティングの種類に関して不安がある場合は、下記の記事に目を通しておくとスムーズに理解ができると思います。
>>バスケの基本的な動きを理解する!カット(カッティング)の種類を解説

 

1.カッティング

カッティングから展開する5outは最も基本となる形です。パスを出した選手がカッティング(パス&ラン)をすることで空いたスペースを埋めるように他の選手が動きます。パス&ランという基本的な動きだけですが、鋭いカッティングをすることで十分に得点が取れます。

  • トップからウィングへのパス
  • 青1はボールサイドカットをして逆サイドのコーナーへ切れる。青3が青1がいたポジションを、青5が青3がいたポジションを埋める。
    ファイブアウト オフェンス

  • ウィングからコーナーへのパス
  • 青2はボールサイドカットをして逆サイドのコーナーへ切れる。青3は青2のいたポジションを、以下同様に各選手は近いポジションを埋める。
    ファイブアウト モーションオフェンス

  • コーナーからウィングへのパス
  • 青4はボールサイドカットをしてパス&ランからレイアップを狙う。パスが入らなかった場合は元いたコーナーへ戻る。他の選手はそのままステイする。
    バスケ ファイブアウト オフェンス

  • ウィングからトップへのパス
  • 青2はボールサイドカットをしてゴール下付近まで行ったら同じサイドのコーナーへ切れる。青4は青2がいたポジションを埋める。他の選手はそのままステイする。
    5out オフェンス

  • トップからコーナーへのスキップパス
  • 青2はパスのタイミングに合わせてボールサイドカットをして逆サイドのコーナーへ切れる。ウィングからコーナーへパスが出た時と同様に他の選手は近いポジションを埋めていく。
    5out offense

  • ウィングからウィングへのスキップパス
  • 青1はパスが出た先に対してボールサイドカットをして、ボールとは逆サイドのコーナーへ切れる。トップからウィングへパスが出た時と同様に、他の選手は近いポジションを埋めていく。
    カッティング バスケットボール

  • ウィングから逆サイドのコーナーへのスキップパス
  • ボールサイドのウィングがカッティングをして、他のプレイヤーがスペースを埋めるように動く。
    モーションオフェンス スキップパス

  • コーナーからトップへのスキップパス
  • ボールがなかったサイドのウィングがボールサイドカットをしてゴール下付近まで行ったら同じサイドのコーナーへ切れる。逆サイドのウィングがカッティングをするのは、ディフェンスが守りにくく、ノーマークに成る可能性が高いから。
    スキップパス バスケ オフェンス

 

コーチングアドバイス

初めて5outの練習をする時は、5箇所にカラーコーンを置いて目印にするとやりやすいです。選手全員がポジションの理解を深め、5outの導入がスムーズにいくでしょう。

また、カッティングは形式ばった練習をするのではなく、常に試合を意識して行いましょう。例えば、ボールサイドカットだけではなく、ディフェンスの状況に合わせてバックカットなどを行います。カッティングをする方向と逆にフェイクをかけたり、パスランでスピード勝負をするなどの工夫が必要です。

 

2.オフボールスクリーン

オフボールのスクリーンから展開する5outは、ディナイが厳しいディフェンスに対して有効です。カッティングと織り交ぜて使うことで、守りずらさが倍増します。

  • スクリーンからカールカット
  • カッティングをする代わりに、青1は青3へスクリーンをセットする。青3はスクリーンを使ってカールカット、”ゴールへ向かって”カッティングをし、同サイドのコーナーへ切れる。スクリーンをした青1はポップアウトして元のポジションへ、青5は青3のポジションをリプレイスする。
    オフボールスクリーン モーションオフェンス
    他のシチュエーションでも同様にできます。下記の画像を参考にしてください。

  • スクリーンからポップアウトとスリップイン
  • スクリーンをセットした時に、ディフェンスが早々にスイッチをするなどで自分(青1)とゴールの間にディフェンスがいない場合に使うプレイです。
    青1はパスを出すと同時に青3へスクリーンへ行く。ディフェンスの状況を判断し、スリップインでゴール下へカッティングし、逆サイドのコーナーへ切れる。青3は青1のポジションを、青5は青3のポジションをリプレイスする。
    オフボールスクリーン パッシングオフェンス

オフボールスクリーンではスクリーンのセットする場所と向きが重要になります。カールカットをする選手のためのスクリーンになるように、スクリーンのポジションを考えましょう。また、ディフェンスによって3線の距離感が違いますので、その都度調整する必要があります。

 

3.オンボールスクリーン

5outの戦術の中では、ゴール下にオフェンスがいないのでヘルプディフェンスの厚みがなく、オンボールスクリーンは非常に効果的なオフェンスになります。

通常のオフェンスではスクリーナーがロールをしてもその先にヘルプディフェンスがいるためロブパスは出しにくいですが、5outであれば簡単に2対1の状況を作り出せます。スクリーナーはポップアウトよりもロールをしてゴール下に飛び込んだ方が有効的なオフェンスを展開しやすいです。

また、ドライブを仕掛けた後に、キックアウトできるポジションが3箇所もあり、かつ味方のポジションがわかっているのでパスがしやすいというメリットもあります。

  • ウィングとトップのピックアンドロール
  • 青1はウィングへパスをしてそのままオンボールスクリーンをセットします。青2はスクリーンを使ってドライブを仕掛け、自らシュートへ行くか、キックアウトをします。ウィングがトップへパスをして、トップでピックアンドロールをしてもいいでしょう。
    オンボールスクリーン モーションオフェンス

  • コーナーとウィングのピックアンドロール
  • 青2はコーナーへパスをしてそのままオンボールスクリーンをセットします。青4はスクリーンを使ってドライブを仕掛け、シュートやキックアウトをします。コーナーにおいてはディフェンスにダブルチームを仕掛けられるリスクがありますが、ヘルプディフェンスが遠いので、スクリーナーがスリップインをしてパスをもらえればアウトナンバーを作ることができます。
    バスケ オフェンス戦術

また、ピックアンドロールの技術/テクニック/コツに関しては、下記で詳細をまとめていますので参考にしてください。
>>【オンボールスクリーン】ユーザーとスクリーナーの基本的な動きを覚える
>>ピックアンドロールから展開するポイントガードの4つのプレイ

 

4.ドリブルハンドオフ

ディナイが厳しく、バックカットなどをしても中々パスが回せない場合に有効なのがドリブルハンドオフからスタートすることです。

青1はドリブルで青2の方向へ向かい、青2はドリブルハンドオフでパスを受けると同時にドライブを仕掛けます。これでピックアンドロールと同じ状況が作れるので、その後は上記で説明した通り、自分でシュートに行くかキックアウトなどをします。

ドリブルハンドオフではディフェンスがチートしている場合に、パスをするふりをしてドリブルを仕掛けることも有効なプレイです。

 

パッシングオフェンスへの応用

5outはパスを中心に組み立てるオフェンスなので、パッシングオフェンスと非常に相性がいいです。

5人がアウトサイドでプレイをする5outとは異なり、パッシングオフェンスはインサイドプレイヤーを置きますが、根本には共通するものが多くあります。両方の練習をすることで相乗効果が得られるでしょう。

 

フレックスオフェンスへの応用

5outのフォーメーションはフレックスオフェンスへ展開させることもできます。両方を組み合わせることで、ディフェンスに予測させないオフェンス展開が可能になり、得点力が倍増するでしょう。

フレックスオフェンスへの展開の仕方は色々とありますが、ここでは一番簡単な方法を紹介したいと思います。

バスケ戦術
  1. 青1は青2へパスをすると同時にボールサイドカットをする
  2. 逆サイドのコーナーへ行く代わりに、ボールサイドのローポストへ行って、青4へスクリーンをセットする
  3. 青2はドリブルでガードポジションまで上がる。これと同時に青3もガードポジションへ上がる
  4. 青2から青3へパスをする。同じタイミングで青4はフレックスカットをする

これでフレックスオフェンスの形につながります。

フレックスオフェンスの詳細に関しては、↓をチェックしてください。
>>【バスケ戦術】フレックスオフェンスのやり方を学ぶ!

 

まとめ

いかがでしたか?5outを自分たちのチームで導入した時のイメージは掴めたでしょうか?

5outの中で大切なことは、ディフェンスに選択肢を絞らせない/読ませないということです。様々なプレイを織り交ぜることで、一見シンプルで簡単に止められるプレイでも得点へつなげることができます。

5outは5人全員がオフェンスに参加できますし、ディフェンスとの駆け引きが多くなるので非常に楽しい戦術です。

ぜひあなたのチームで導入することを検討してみてください。

この記事がお役に立てましたら、Facebookでいいねをしていただけましたら幸いです。

POSTED COMMENT

  1. 良し より:

    勉強になります。ありがとうございます。

    動画があると最高なんですが。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です